周りを山と海に囲まれた場所に建つマンションの一番上の階にうさぎの女の子の桃は
人間のパパとママと暮らしていました。
6月のぽかぽか陽気の中、ママは一日お出かけ、桃はパパと二人でお留守番です。
パパは昨日のお仕事の疲れでお昼ね中です。桃はパパの大きな背中の横でごろんと
横になり桃もお昼寝をする事にしました。うとうとしていると、何だか背中がこそばかゆく、
そしてちょっぴり重くなってきました。前にもあったこの背中の感じは‥‥ハットと桃は
飛び起きました。わくわくしながら背中を見てみると、やっぱり金色の羽が生えていました。

桃は嬉しくなりました。「やった!また冒険に出かけられるわ、でもどうやって
外に出ようかしら」その時ベランダに目をやると、窓は開いています。ただし網戸がして
ありました。今日は、ぽかぽか陽気なのでパパが窓を開け網戸にしていたのです。
桃はそ〜っとパパを起こさないように網戸に爪をかけ、体を傾けてひっぱて開けました。
少し開いた網戸からベランダに出た
桃は、ためしに羽をパタパタ動かして
見ました。
羽は「パタパタ」と音をたて
動きはじめました。
これから桃の冒険の始まりです。
桃はベランダの手すりの隙間から
お空に羽ばたきだしました。